「京都の伝統技術×オリジナルテキスタイル」で世界へ挑む!~ VOL.2

2019.2.13
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【MOBAREKI LIBRARYー地方の伝統技術紹介コラムー】
こちらのコラムでは色々な職業や技術をより多くの方に知っていただくべく、ちょっと変わったお仕事や働き方、またライフスタイルを紹介しています。今回は前回に引き続き、久山染工 吉田さんに久山染工さんについてお話を伺いました。



ー「京都の伝統技術×オリジナルテキスタイル」で世界へ挑む!ー VOL.2
久山染工 京都の伝統技術を継承する職人集団



取材班:前回に引き続き今回は久山染工さんについて伺っていきたいと思います。吉田さん、今回もよろしくお願い致します。
吉田さん:よろしくお願いします。って本当に京都まで来ちゃいましたね(笑)
取材班:そりゃそうですよ(笑)まず写真が取れないですし、職人さんとか現場とか直接拝見しないと記事にしたときにリアリティがなくなってしまうじゃないですか!
吉田さん:そうですよね(笑)でもこんなにすぐにお越しいただけるとは思ってませんでした。
(実際お会いして1ヶ月でうかがいました(笑))
取材班:我々としても早く情報を発信したいっていうのはありました。実際個人的にもかなり興味がありましたので(笑)
吉田さん:なるほど。では早速紹介させていただいてよろしいでしょうか。
取材班:はい、是非お願いします。


――久山染工を知る

吉田さん:久山染工は久山徹が洋服生地のプリント委託加工場として創業した企業です。 日本古来より伝わる型友禅から京都の地で独自に進化を遂げたハンドスクリーン(版)の技術を中心に事業を展開している染工場です。染工場内の職人にしかできない技術を生かし、通常のスクリーンでは表現できない多彩に取り揃えられたオリジナルの特殊加工による、そのアイデアや独創性のあるデザインは、海外メゾンからインテリア業界まで幅広いクライアントで採用されています。久山染工により日々取り組まれる、よりクリエイティブでオリジナリティのあるテキスタイル(生地)作りは今なおこの技法を進化させ、ものづくり業界の最先端を引っ張っている会社です。
取材班:友禅は日本で最も有名な染色法の一つですよね。その中でも京都は加賀友禅と並んで日本でも有数の友禅の産地。どちらかというと柔らかみがあるデザインが特徴的な印象があります。そこに吉田さんのデザインなどでオリジナリティを加えることによって他には無いアイテムを生み出している。
吉田さん:そうです。京都では型友禅(型紙を使った友禅染)など古くから染物の産地として技術を育んできました。久山染工は京都の伝統工業である染めの工程全てを職人による手作業で型を使ってプリントする手捺染(てなっせん)で行います。通常手捺染は染料を溶かした糊を使用しますが、それに加え久山染工では様々な薬品を併用して新しい表現の生地を開発しています。
私たちは伝統技術を使いながら、絶えずその技術を進化させて意匠性の高いものづくりを目指します。

――技術は財産



取材班:今ね、ここで生地サンプル見させてもらってるんですが、とにかく斬新なアイテムが多い!デザインを起こすことはできてもそれを生地に染めるのって難しいと思うんです。そもそも型友禅自体が量産用に開発された技術ですもんね。それを自社独自の技術でこういったオリジナリティのあるテキスタイルを作り続けているのは凄いですね。そして採用してくださっているブランドさんもまた凄いとか!?
吉田さん:そうなんですよ。詳細はお伝えできないのですが海外のハイブランドさんが使ってくださっています。正直びっくりしてます(笑)お伝えしたように手捺染で作っている以上、なかなか大量ロットで作るのが難しく、且つ生地単価が高くなってしまうというのもあると思うんですがやはりオリジナリティが評価されて採用してくださっているんだと思いますね。
取材班:凄いですよね。切り口がおもしろい!ふとしたら継承されなくなってしまう伝統技術にオリジナリティを乗せることで海外に通用するアイテムに生まれ変わらせたってことですもんね。特に手捺染は手加工のため職人さん一人ひとりの技術でデザインが大きく変わる。それを再現できる技術をお持ちなのは強い武器だと思います。



吉田さん:まさに久山染工の財産ですよね。ここにある版は全て過去に生地を作ったことがあるものなんですがもちろん職人が作った物。もう置くところが無くて駐車場の前にも足場を組んで置いてます(笑)
取材班:裏の倉庫も一杯ですね(笑)でもね、こういった取り組みって簡単ではないと思うんですよね。新しいものと古いものを掛け合わせて新しい価値を生み出すって本当に大変だと思います。
吉田さん:まあ大変なんですけど、やっぱりおもしろいですよね。前にも言いましたが面白いから続けられるんだと思います。だってまさか自分が海外のハイブランドと取引するようになるなんて考えて無かったですもん。だけど色々な人と出会って今こうしてお仕事できている、これって必然的に新しいチャレンジへのモチベーションになりますよね。
取材班:確かに。失敗してもいいからやってみる、そこから生まれる何かがきっとある、そういったことの繰り返しが今の久山染工さんになっているんだと思います。そしてこのテキスタイルにさらに新しいエッセンスを加えて誕生したのがプルーフキャンバス!?
吉田さん:その通り(笑)今までは伝統技術と新しいデザインを組み合わせて商品化して来ましたけどそこに今度は生地に新しい機能を追加して売り出していこうかと思っています。
取材班:なるほどですね。では早速そのプルーフキャンバスのお話を聞かせていただけますか?

――プルーフキャンバスとは

吉田さん:プルーフキャンバスの基布に使用するファブリックは天然素材を使用しています。
表面にはフッ素(C8.C6)を使用しない撥水剤(アクリル由来)を使用。 片面は松脂(ヤニ)と天然由来の素材から作られた材料をコーティングして防水機能を付与しています。『土に還る(Bio-degradable )』というコンセプトの基、環境に配慮した素材です。もちろん機能性も充分担保し、タウンユース、雨天でも活躍できる素材に仕上げました。
取材班:これはなんか複雑だぞ(笑)また企業秘密な部分も結構ありそうで説明すると長くなるのでは?
吉田さん:おっ、察しがいいですね。その通り、時間が足りないので続きは次回で(笑)
取材班:(笑)言うと思いました。それでは次回プルーフキャンバスの開発秘話から販路の開拓についてなどを具体的に伺っていきたいと思いますのでよろしくお願いします。
吉田さん:わかりました!って実際は今日の午後次回分のインタビューもやるでしょ(笑)
取材班:うん、やらないともう一回京都まで来なきゃいけなくなっちゃうから(笑)
吉田さん:でしょ(笑)じゃあとりあえず近くにパンダの看板のおいしい中華料理屋があるのでそこにお昼ごはん食べに行きましょう(笑)

ーー取材後記ーー

京友禅のなかでも作り手が減少傾向にある手捺染での生地作り。久山染工さんの職人一人ひとりの個性と思いが見事に表現されています。それを支えている吉田さん。本当に大変だと思います。特に職人さん中心の職場は個性の集団というイメージが強くそれを一つにまとめていくのも大変な作業だと個人的には思っています。やはり面白いことを続けることがこういった大変なことも乗り越えていく一つのモチベーションになっているんだと思います。
実際こういった伝統技術は全国にあると思うのですが伝統を重んじてしまうため、どうしても新しい取り組みを取り入れようとすると拒絶反応を示してしまう可能性があるため、踏み出せずにいる物も多いと思います。それをいかに柔軟な発想と行動力で「変化、成長」させていくか、これが今後の日本の伝統技術を守り、発展させていくために必要なことではないでしょうか。特に生地の業界ではファストファッションの流行に伴い、安価量産型、且つ海外生産の生地が市場の中心を担っています。ただ、どこのブランドも同じアイテムに見えるなと感じること、ありませんか。安価になったことで失われた個性。久山染工さんはこれに抗っているんだと思います。そんな時代の中で視点を変えて自分たちの技術プラスアルファを付加価値として付与することで伝統技術を守り、発展させている久山染工さんの活動は今後の日本の生地、染色業界の一つのモデルケースになるのではないでしょうか。